作曲家たちは、バロックの楽器や日本の伝統楽器についての知識を必要としており、また、新しい表現のために、そして、複合文明的とも言えるような「融合」の可能性を知ることを必要としています。その一方で、演奏家たちも同じく、それぞれのレパートリーをマスターしながら、それを現代的な表現にも役立てられないかという関心をもち、またその他、ダンスや演劇などのアーティストたちも、音楽家たちとのコラボレーションに関心を寄せているのです。そして、これからの観衆は、音楽好きな人もそうでない人も、時代と文化が交じり合うような経験やそうした発見ができる瞬間を共有しようとしているのです。

アンサンブル室町
ローラン・テシュネ(指揮)市瀬陽子(ダンス)大平健介・新妻由加(オルガン)平山亜古(チェンバロ)佐藤亜紀子(リュート)山澤慧(バロック・チェロ)廣海史帆・篠田さや香(バロック・ヴァイオリン)森吉京子(リコーダー)川端勇輝・長島有紀(トラヴェルソ)今井文香(打楽器)守啓伊子・山崎千鶴子(三味線)久保田晶子(琵琶)増田千斐(笙)間庭拓夢(篠笛)田中奈央一・平田紀子(箏)渡辺元子(尺八)安藤珠希(胡弓)盧慶順(打楽器)伊東光介・上田真樹・小林弘人・齋藤圭子・篠田大介・張替夏子(作曲)
この特別イベントは、アンサンブル室町のメンバーのほかに、有識者(下記参照)を数名お招きしての開催となります。
青木涼子(謡)
8歳からバレエを始め、14歳で能楽に転向する。 東京藝術大学音楽学部邦楽科能楽専攻卒業(観世流シテ方専攻)。同大学院音楽研究科修士課程修了。 現在はロンドン大学東洋アフリカ学院博士課程にて「女性と能」について研究を行う。
97 年ニューヨーク・カーネギーホール・日本フェスティバルにて能「土蜘蛛」を演じる。00年東京藝術大学美術館企画「間−20年後の帰還」展(磯崎新監修)にて、女性能楽師による「山姥」に出演。同年、東京国際舞台芸術フェスティバルに参加。04年ニューヨーク、06年ロンドンにて新作オペラN-OPERA Macbethの主役を演じる。05年ORCNANA & APPAN 国際シンポジウムにて日本代表として能「巻絹」のデモンストレーションを行う。07年大岡信文化講演会にて詩人・大岡信、俳人・長谷川櫂の連句を謡う。これまでに湯浅譲二、一柳慧、伊東乾、大村久美子、クレール=メラニ・シニュベール、河村真衣、山根明季子、桑原ゆうなど現代作曲家の作品を初演しており、様々な作曲家と共同で、伝統文化と現代音楽の融合による、新たな「能」の世界を生み出す試みを実践している。07 年には、湯浅譲二を監修に迎え、コンサート"音楽×音曲" -現代音楽と能楽の融合- を開催。若手作曲家への能ワークショップ、新曲委嘱を行う。神奈川県芸術文化財団主催アートコンプレックス2008(一柳慧プロデュース)に出演。08、 09年武生国際音楽祭(音楽監督・細川俊夫)に招待。09年2月にはベルリン高等研究所の細川俊夫コンサートにて、細川俊夫作曲「二つの日本民謡」を歌い、好評を博す。また武生国際音楽祭、イギリス、韓国、日本の大学において能ワークショップ講師を多数務めるなど世界で能楽の普及を行う傍ら、NHK教育テレビ、放送大学テレビに出演するなど幅広い活動で注目を集めている。
Media :NHK教育テレビ NHK俳句、放送大学テレビ「才能教育論」、イトーキSpina 対談・隈研吾×青木涼子 、EMO 2007年春号、建築雑誌(日本建築学会)2007年12月発行日本照明家協会雑誌 2006年12月号、AERA English 2006年3月発行、読売新聞国際版 2005年4月掲載
Award :アートブラザー大分2006受賞
市瀬陽子(ダンス)
立教大学及び東京芸術大学卒。15〜18世紀のヨーロッパ宮廷舞踏、音楽劇・バレエ作品を中心に研究、舞台を制作・上演する。"優雅な宴les fetes galantes"(1992/3)、シリーズ公演 "les songes agr?ables"(1995-1999)、"Terpsichore"(2000-2008)等を発表、ダンサーとして活躍すると同時に、振付・演出、美術や衣装、照明のデザインを手がける。最近では鈴木雅明氏率いるBCJとの共演、またヨーロッパの古楽器と和楽器による「アンサンブル室町」の企画運営に携わるなど活動の幅を広げ、さらに各地の大学や音楽団体での特別講座等指導・普及活動、論文・雑誌寄稿等執筆活動も展開している。聖徳大学准教授、東京芸術大学、洗足学園大学講師、昭和音楽大学バレエ研究所研究員。
神戸愉樹美(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
フェリス女学院短期大学音楽科卒。久保田良作にヴァイオリンを師事。バーゼル市立音楽院古楽科卒。ハーグ王立音楽院留学。HL・ミュラー、W・クイケンにヴィオラ・ダ・ガンバを師事。'83-日本ヴィオラ・ダ・ガンバ協会会長。神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団結成。'00以来北米ツアーで大好評を博す。古楽器ガンバの魅力を生かした現代曲にも情熱を注ぎ、独奏曲と合奏曲の委嘱・献呈作品は80曲余り 2009年度京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター共同研究研究員 現在、国立音楽大学講師。共訳書にジャン・ルソー著「ヴィオル概論」、録音、CD、著作、論文、楽譜出版もある。URLwww.ykvc.jp/013.html
久木山直(作曲)
桐朋学園大学研究科修了。『日本音楽コンクール』、『今日の音楽作曲賞』入選。『三年結社』を結成。作品は<東京の夏>音楽祭をはじめ内外で広く演奏されている。近年はズレを伴ったフレーム的発想によるパッチワーク的作風が特徴。
権代敦彦(作曲)
1965年、東京に生まれる。桐朋学園大学で作曲を学んだのち、1990年から92年までDAAD奨学生としてフライブルク音楽大学に留学。1993年から94年まで、文化庁芸術家在外研修員としてパリに滞在し、95年までフランス国立音響音楽研究所(IRCAM)で、コンピュータ音楽を研究する。作曲を末吉保雄、クラウス・フーバー、サルヴァトーレ・シャリーノに、コンピュータ音楽をフィリップ・マヌリに、オルガンをジグモント・サットマリーに師事。ローマのブッキ国際作曲コンクール第1位(1991)、ワルシャワのセロツキ記念国際作曲家コンペティション第2位(1992)、芥川作曲賞(1996)をはじめ、アムステルダムのガウデアムス国際音楽週間(1992)やISCM世界音楽の日々(2001)での入選、芸術選奨文部科学大臣新人賞(2002)など、国内外で数多くの賞を受賞。
カトリックの信仰に基づく儀式としての音楽空間を探究。近年は仏僧、聲明家とのコラボレーションを通じて、仏教音楽との交流から新たな領域を開拓している。また、ノイズ・ミュージックのMERZBOWをはじめ、ヴィデオ・アーティストの兼古昭彦、ダンサー・振付家の金森穣など、他分野における第一人者とのコラボレーションも多い。コンサート・プロデューサーとしても意欲的な活動を行っている。1995年から5年間、渋谷ジァンジァンで、シリーズ「東京20世紀末音楽集団→2001」、1997年から99年まで神奈川県立音楽堂で、「権代敦彦シリーズ・21世紀への音楽」を企画制作。
1995年および99年には、東京カテドラルで自らの個展をプロデュース。2004年には、サントリー音楽財団のコンサートシリーズ「トランス・ミュージック〜対話する作曲家」の特集作曲家として企画も手がけた。オーケストラや合唱作品を集めたCD『薔薇色の肖像』(Fontec)が1999年に、ピアノ作品をまとめたCD『きらめく光のとき−祈り』(ALM RECORDS)が2004年にリリースされている。2000年にはニュージーランドのウエリントン・ヴィクトリア大学、オークランド大学で講義を行う。また2003年、アーティスト・イン・レジデンスとしてノルウェーのベルゲンに滞在。ベルゲン大学グリークアカデミーで講義を行う。2004-2005年、オーケストラ・アンサンブル金沢のコンポーザー・イン・レジデンス。カトリック教会オルガニスト。現在、パリと東京を拠点に作曲活動を展開している。
関根敏子(音楽学)
桐朋学園大学音楽学部作曲理論学科(音楽学)卒業後、フランス政府給費留学生としてフランス国立パリ高等音楽院(パリ・コンセルヴァトワール)に学ぶ。またチェンバロをスコット・ロス、トン・コープマン他の各氏に師事。帰国後、桐朋学園大学・早稲田大学講師を経て、現在は昭和音楽大学・東洋大学・白梅学園大学各講師、音楽文献目録委員会事務局長。その他、新潟大学・京都市立芸術大学での集中講義、朝日カルチャーセンター新宿・横浜、さらに新聞や雑誌、コンサート評、CD解説、NHK-FMへの出演など。主要な著訳書:『古楽演奏の現在』(監修)、『西洋の音楽と社会:後期バロック』(監訳、2巻)、『ドメニコ・スカルラッティ』[いずれも音楽之友社]、A.ヘリオット著『カストラートの世界』(国書刊行会、共訳)、ドメル・ディエニー著『演奏家のための和声分析と解釈:フォーレ』(シンフォニア、 翻訳)、『音楽がわかる。』(共著、朝日新聞社)、『21世紀の音楽入門1〜7(共著、教育芸術社)、リスト著「ショパン」(訳、音楽現代連載)他、多数。
成田和子(作曲)
パリ国立高等音楽院にて和声科、対位法科、フーガ科、管弦楽法科、作曲科、電子音響音楽作曲科を卒業。マックス・ドイツェ国際作曲コンク?ル(1983)、クセナキス国際作曲コンク?ル(1983)、第17回神奈川芸術祭合唱作曲コンク?ル(1993)、第27回ブールジュ電子音楽と音響芸術国際コンクール(2000)に入賞、第27回武井賞(1985)、第12回文化庁舞台芸術創作奨励賞(1990)などを受賞。近年、ペルピニャン“現在の音楽フェスティバル”、第52回“パブロ・カザルス・フェスティバル”、クレの“フェスティバルFUTURA”などに招聘される。同志社女子大学学芸学部音楽学科助教授、東京音楽大学非常勤講師。
山下恵(作曲)
東京芸術大学音楽学部作曲科卒業、同大学大学院音楽研究科作曲専攻修士課程修了、パリエコールノルマル音楽院作曲科卒業、フランス国立パリ音楽院作曲科を一等賞で卒業、第62回日本音楽コンクール作曲部門入選、第1回奏楽堂歌曲コンクール作曲部門第3位、第13回名古屋文化振興賞受賞、現在尚美学園大学音楽表現学科、東京芸術大学音楽学部、東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校講師。
ワークショップは、2009年10月24日、東京藝術大学の第1・2ホールにて
13時から18時30分までの予定で開催されます。
ぜひとも、この21世紀にふさわしい新しい教育への幕開けに、多数の皆様にご参加いただき、
応援していただきたく、心からお願いいたします。
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Workshop du 24 Octobre a Tokyo Geidai

Pour la premiere fois, l'Ensemble Muromachi se lance dans une vaste aventure artistique resolument pedagogique.
En effet, si les Compositeurs ont besoin de connaitre davantage tant les instruments baroques, les instruments traditionnels japonais que leurs
possibilites de fusion entre eux pour une expression nouvelle et quasi "pluri-civilisationnelle", les instrumentistes ont egalement un interet
evident a maitriser mieux leur repertoire afin de le mettre aussi au service de l'expression contemporaine, les autres artistes (Danse/Theatre etc) d'apprendre a collaborer avec eux et un public, melomane ou non, pret a partager ces moments d'experimentation et de decouverte mixant epoques et cultures.
Hormis des membres de l'Ensemble Muromachi:
Laurent Teycheney(direction), Yoko Ichise (danse), Kensuke Ohira/Yuka Niitsuma(orgue)Ako Hirayama(clavecin)Akiko Sato(Luth) Kei Yamazawa(Violoncelle baroque)Fumiho Hiromi /Sayaka Shinoda(Violon baroque)Kyoko Moriyoshi(flûte à bec)Yuuki Kawabata/Yuuki Nagashima(flûte traverso baroque)Fumika Imai(percussion)Keiko Mori・Chizuko Yamazaki(shamisen)Akiko Kubota(biwa)Chiaki Masuda(sho)Takumu Maniwa(shinobue)Naoichi Tanaka/Noriko Hirata(koto)Motoko Watanabe(shakuhatchi)Tamaki Ando(kokyu)Keijun Lo(percussion)Kosuke Itoh/Maki Ueda/Hiroto Kobayashi/Keiko Saito/Daisuke Shinoda/Natsuko Harigae(composition)
des personnalites invitees nous feront l'honneur de se joindre a nous pour ce grand evenement:
Ryoko Aoki, Atsuhiko Gondai, Yukimi Kambe, Naoshi Kukiyama, Kazuko Narita, Toshiko Sekine,Megumi Yamashita,
Ce Workshop aura lieu a Tokyo Geidai, Hall 1 et 2, le Samedi 24 Octobre 2009 entre 13 et 18:30,
nous vous souhaitons donc nombreux a venir y assister pour encourager la naissance d'un nouvel acte pedagogique digne de ce debut de XXIe siecle.