『不遇をかこつとある若者が、仙人からどんな夢も叶うという枕を借りて眠る。すると、たちまち願いが叶い富も名誉も手にする。しかし、全てはほんの束の間の夢の中の出来事だった。夢から覚めた若者は、人生の栄華も夢のようにはかないことを悟り、欲を捨てることができたと仙人に感謝する』能楽「邯鄲」をかいつまむとこのような物語です。この作品は三島由紀夫(1925-1970)によって現代風の戯曲に翻案されています。
アンサンブル室町は第二回公演にあたり、昔話でありながら21世紀の現代にも生きつづける物語「邯鄲」に着想を得た作品を3人の作曲家に作曲していただきました。それが本公演のプログラムにある、権代敦彦「1,576,800,000秒」、成田和子「相聞」、山下恵「夢追い」です。
時と空間を越えた融合芸術の表現として、これらの初演作品と、能の謡、語り芝居、ルネッサンス時代のダンスと日本舞踊をひとつにまとめ上げます。
アンサンブル室町は、日欧のすばらしい交流という旗印の下に、創造的で、柔軟で、間口が広く、多様な芸術を目指しています。そして、今後開催される公演のほかにも、特に楽器についてのワークショップ・アトリエや、作曲コンクールといった教育的な面にも活動の場を広げていこうとしています。
今夜お越しくださった皆さまに、心より感謝を申し上げます。
ではアンサンブル室町の公演をお楽しみください。
ローラン・テシュネ
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Avant-Propos
"Un jeune homme a la recherche de la Verite s'endort sur un oreiller magique et revient ensuite chez lui, ayant acquis l'illumination":telle est en quelques mots l'histoire de la celebre piece de Theatre No KANTAN, histoire transposee ensuite en "No moderne" par l'ecrivain Yukio Mishima(1925-1970) au XXe siecle.
Pour son second spectacle, l'Ensemble Muromachi a sollicite Atsuhiko Gondai (.....) Kazuko Narita (Soumon) et Megumi Yamashita (Pieces) a composer chacun une oeuvre inspiree de ce recit qui, tant ancien que moderne, reste etonnament d'actualite en ce debut de XXIe siecle.
A ces trois oeuvres creees ce soir viennent se joindre le chant Noh, le recit theatral, la danse europeenne de la Renaissance et la danse japonaise, le tout dans un esprit d'alliance artistique defiant Temps et Espace.
Creativite, flexibilite, generosite et ouverture artistiques placees sous le signe d'un echange de qualite "Japon/Europe",l'Ensemble Muromachi a tout son avenir devant lui et associera dorenavant a ses prochains spectacles une dimension pedagogique en organisant notamment des Ateliers workshop d'instruments, un Concours de Composition,etc.
Belle soiree et merci d'etre presents parmi nous,
Laurent Teycheney
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アンサンブル室町はこれまでにない初めての編成(笙、尺八、三味線、箏などの和楽器と、バロック・ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、トラヴェルソ、ポジティヴ・オルガンなどのヨーロッパの古楽器)によるアンサンブルです。
数多くの楽器がヨーロッパから日本へと輸入されたという安土桃山時代の象徴的イメージを元に生まれ、アンサンブル室町と名づけられました。現在の構成メンバーは次のとおりです。
根元卓也(指揮)簑田弘大、守啓伊子(三味線)田中奈央一、日原暢子(箏)久保田晶子(琵琶)金澤裕比子、増田千斐(笙)盧慶順(太鼓)間庭拓夢(篠笛)渡辺淳、渡辺元子(尺八)安藤珠希(胡弓)大平健介(ポジティブオルガン)齊藤健介(オルガン)會田賢寿、平山亜古(チェンバロ)佐藤亜紀子(リュート)武澤秀平(ヴィオラ・ダ・ガンバ)天野寿彦、小林瑞葉、廣海史帆(バロックヴァイオリン)山澤慧(バロックチェロ)川端勇輝(トラヴェルソ)森吉京子(リコーダー)目等貴士(打楽器)伊東光介、上田真樹、木下愛子、小林弘人、権代敦彦、齊藤圭子、篠田大介、鷹羽弘晃、築田佳奈、中本芽久美、成田和子、張替夏子、松浦真沙、山下恵(作曲)佐野弘宜(謡)市瀬陽子(ダンス)花柳源九郎、花柳美輝風、藤間豊彦(日本舞踊)池田舞美、石川絵美、石川博章、高橋亜季、西山知秀(演劇)宮内基弥(編曲)
昨年「北とぴあ音楽祭」のために結成されたこのアンサンブルの第1回公演は、2007年11月16日東京の北とぴあ・つつじホールにて開催されました。「豊臣秀吉の夢:露と落ち 露と消えにし わが身かな 難波のことも 夢のまた夢」をテーマに、伊東光介、上田真樹、木下愛子、小林弘人、齊藤圭子、篠田大介、鷹羽弘晃、築田佳奈、中本芽久美、張替夏子、松浦真沙による初演作品11曲と、エリック・サティの「スポーツと気晴らし」を宮内基弥とローラン・テシュネが編曲したものが演奏されました。
そして、アンサンブル室町の第2回公演が、来る2008年12月12日・東京サントリーホール(ブルーローズ)にて開催されます。「邯鄲の夢」(能楽の有名な作品であり、三島由紀夫が現代風の戯曲として翻案した「邯鄲」より)をメインテーマに据え、これに着想を得て作曲された「1,576,800,000秒」(権代敦彦)、「相聞」(成田和子)、「夢追い」(山下恵)が初演されるとともに、安土桃山時代に日本からローマに送られた「天正遣欧少年使節団」へのオマージュとして、イタリア・ルネッサンス期の舞踏(カローゾ、ネグリ、ヴェッキの音楽)も披露されます。
独自の楽器編成を持つアンサンブル室町は、日本+ヨーロッパの「文明の交差」という立場に立って、演劇、能楽、日本舞踊、バロックダンスなどといったさまざまな芸術表現とコラボレーションをしながら、現代の作品も昔の作品も演奏していこうというアンサンブルなのです。
ぜひ、多数の熱心な観客の皆さまにお越しいただき、この「東西」の交流と新しい芸術のひとときを共有することができれば幸いです。
「アンサンブル室町」ばんざい!
− 能楽と三島由紀夫の戯曲による「邯鄲の夢」- アンサンブル室町 −
演奏作品 / 権代敦彦、成田和子、山下恵(初演作品)、ファブリティオ・カローゾ・ダ・セルモネータ、チェザーレ・ネグリ、オラツィオ・ヴェッキ(16世紀イタリアの作品)
指揮 / 根元卓也
ダンス構成 / 市瀬陽子
和楽器リーダー / 簑田弘大
古楽器リーダー / 大平健介
総責任者 / ローラン・テシュネ
日時 2008年12月12日(金)19時開演(18時30分開場)
場所 サントリーホール ブルーローズ
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